仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜(あいじさん作) - 7 | ケステーズ - 二次小説・SS投稿

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仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜

変身?

喫茶店「Amigo」は店長である立花籐兵衛曰わく純喫茶であるらしい。
良く云えばこだわりの、悪く言ってしまえば古臭いその店は年中閑古鳥が鳴き続ける始末で、居候も居る為か立花の泣き声すら聞こえる。
「豆も素材も良いもの使ってんだけどね…なんでかな?」
そんな疑問を放とうと返すような客もなく店内は静まり返ったままである。
立花がカップを棚に戻そうとした時だった。
カラン カラン
店先のベルが軽快なリズムで来客の訪問を告げた。
「たたいま〜」
立花の顔が一気に不機嫌になる。やってきたのは客ではなく居候である緑川あすかだった。
「なんだい…あすかちゃんか、今日はもう店仕舞い?」
「違う違う。ちょっと訳ありなのよ」
あすかの後ろから本郷猛が現れ店内に足を踏み入れる。
「お客さん連れてきてくれたの?」
「恩人だよ。なんかおごったげて」
「いや、俺は…」
猛は断ったが、不思議そうな顔をする立花にあすかが事の顛末を語った。
「本郷くんか…いやなんだかうちの居候がお世話になったね、コーヒーぐらいしか無いけどサービスさせてよ?」
「…ありがとうございます」
「なに暗い顔してんの、ここね、コーヒーしか無いけど味はボクが保証する」
「ボク…?」
猛があすかの一人称の変化に不思議そうな顔をする。
「ああ…ゴメン、外だと使ってないんだケド…ここにいると思い浮かぶ一人称がこれしかないんだよね…変かな?」
「いや…そんなことないよ」
猛が穏やかな笑顔をあすかに向ける。
「ホイ、お待たせ。あすかちゃんのは甘〜くしといたからね」
「全く、ボクだってもう子供じゃないんだからね」
猛はそんな二人のやりとりを見ながらコーヒーを口へ運んだ。濃厚な香りと控えめ苦味が猛の鼻孔を通り抜ける。久しく忘れていたゆとりや感情が心から溢れてくるような気がして猛は妙にくすぐったい気分になった。
「どうだい?」
「ええ…うまいです」
猛は自らの傷が癒えるような気がした。

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