19
仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜22
「…ところで…約束って?」
ウラタロスは先程の少年たちの言葉がひっかかってしょうがなかった。
「…」
ウラタロスの質問に彩は少々顔を曇らせた。
…その背後…店の奥へと繋がる扉で、白い影が一つ、彩とウラタロスを見ていた。
〜とある公園〜
日も落ちて、小高い丘の上にあるこの公園では街の光がキラキラと光って見えた。
丘の公園とその急勾配を分ける手すりに肘をついて、一人の背の高い若い男がその光を見下ろしている。首もとまで流れる黒髪が夜風に揺れる。片手には缶コーヒー。
「お前ホントにコーヒー好きだよな。」
黒髪の男の背後に、茶髪で細身の男がゆらりと立ち止まった。
「…」
「間違えた…コーヒーが好きなんじゃなくて…"甘いの"が嫌いなんだよな」
茶髪の男はニヤリと笑ってみせる。
「…何が言いたいんだよ…和也」
黒髪の男…修は、茶髪の男…和也に背を向けたまま低い声で威圧した。
「…別に。ただ、一つ報告しとこうと思って。」
和也は臆する様子もなくニヤリと笑う口元を手で押さえる。
「生きてたよ…古賀彩。」その言葉に修は顔を上げる。その小さな反応に満足げに和也は続けた。
「この前、ちょっかい出した下のヤツらがやられたってさ。」
和也は修の隣に並ぶと手すりにもたれかかった。「…」
黙り込んだままの修…
彼はそこで深くため息を吐いた。
「関係ねぇよ…もう」
修は眉をひそめるとその言葉を押し出すように呟いた。コーヒーを一口飲むと眼下の灯りに視線を落とした。
和也はそんな修に楽しそうに目をやると、大きく伸びて夜空を見上げた。
「楽しみだな〜…"約束"」
和也は満足げな顔でニンマリと笑った。