189
ヒグラシのなく頃に(消滅編其の二百五)
ノアサは静かに寺の屋根へと降りてきた、空は炎色から元の薄青色に戻った、
「レディースアーンドジェントルメン!皆様今からお目にかけますは炎舞と申します!
炎の舞!二度とは見れぬ摩訶不思議な悪魔のダンス!その美しさその妖しさをとくとご観覧下さいませ。」
そう言って俺たちにいたずらっぽく指を立てる、そこにいるのはノアサであってノアサじゃない、それがわかった・・あれが・・アンサー・ド・ノア・・
「アリメントロスセプテイヤ(怒りよ憎しみよ)」
そう言うと夕日に手を重ねる、少しずつだが・・そこに陽炎が出来てゆらゆらと揺らめいてる・・
「エニルスカースアメテトロンブイヤ(嫉妬よ劣等感よ)」
「何を・・言ってるんですの?」
沙都子が困った声をだす
「わかんないよ・・なんなの?」
「あれが・・ノアサ君・・?」
・・・俺たちは今・・ここにあってはならないものを見ている・・
空が再び炎色に染まっていく・・ノアサの手はオレンジ色の炎をまとっていた・・
熱くないのか?あいつ・・
「ガニアン・モ・エンクセン(隠すな、さらけだせ)」
やがてそれは徐々に弧を描き出し・・まるで・・陽炎がノアサの羽衣のように揺れ始める
「テニモアン、ガルネッセ?(さぁ、準備はできた?)」
(ゴォォ!)オレンジ色がさらに濃くなる
「レモンドガルッセ!(祭りだ!)クルモンヘイタ!(踊れ!)アンサー・ド・ノアァ!」
みんながいた・・梨花ちゃんの演舞を見るために・・しかし・・突然の乱入者はとんでもない踊りを始めた・・でも・・だれもそれを止めることが出来なかった・・
あまり妖しく・・そして・・美しすぎるその舞に・・誰も止めることなど・・できるはずがない・・
炎はノアサを包み込み・・まるでステージ衣装のように、ノアサを際立たせる・・
衣装は弧を描き・・やがて・・龍のように舞い始め・・また鳥を作り出す・・
それが月に舞い・・そしてノアサのもとに戻ってくる・・
炎に照らされたノアサの顔は俺たちが知ってる顔じゃなかった・・お前が・・・・
その踊りが終ると俺たちに向かう・・