16
ゼロと双剣の使い魔 17
シエスタと一緒にデザートのケーキを運んでいるとキザッたらしい少年のポケットから小壜が落ちた。
「おい、ポケットから壜が落ちたぞ」
しかし少年は振り向かない。明らかに聞こえているだろうに無視しているのは明確だ。
しょうがないと、ロイドはトレイをシエスタに持ってもらうとしゃがみこみ小瓶を拾い少年の前に突き出した。
「落し物だよ、色男」
「・・・これは僕のじゃない。なにを言っているんだね?」
その小壜にきづいた少年の友人たちが騒ぎはじめた。
するとどこからか栗色の髪をした少女が現れていきなり涙を流し少年、ギーシュといったか、の頬をひっぱたいて去っていった。
するとまたいつの間にかやってきていた巻き髪の少女がギーシュがさっきまで飲んでいたワインを顔にかけて去っていった。
ギーシュはハンカチを取り出すと顔を拭きロイドの方を振り向いた。
「君が軽率に香水の壜なんかを拾い上げたおかげで二人のレディの名誉が傷ついた。どうしてくれるんだね?」
「二股かけてたお前が悪いんじゃねえか」
ギーシュの友人たちがどった笑った。
「その通りだギーシュ!お前が悪い!というか今回で二回目じゃないか」
ギーシュの顔に赤みがかかった。
「ふん、確か君はあのゼロのルイズが呼び出した平民だったな。まったく、あいつはろくな使い魔を呼び出さないな。いいだろう、君は貴族に対する礼儀を知らないようだからな、僕が直々に教えてやろう」
「教えるって・・・要は決闘しようってことか?」
「ふっ、わかっているなら話が早い」
そういい、ギーシュは立ち上がった。
「おい、ギーシュ。またゼロのルイズの使い魔に負けるんじゃないのか?」
「ふん、うるさいよ。僕は日々成長しているんだ」
「・・・それで?ここでやるのか?」
「いや、貴族の食卓を平民の血で汚せるか。ヴェストリの広場で待っている」
そう言い残し、ギーシュは去っていった。