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ゼロと双剣の使い魔 41
そのころ、ロイドとタバサはというと、ルイズの部屋から抜け出した後中庭にでて隅っこの方で座っていた。
タバサは持っていた本を月明かりを頼りにして読んでいた。
「なあ、タバサっていつも本読んでるけど面白いか?」
「・・・ユニーク」
「ふーん、俺なんか本読むといつのまにか寝てるもんな」
「そう」
タバサはロイドの言葉に相槌を入れながらも、本を読むペースが落ちることはないようだ。
タバサの聞いているのかそうでないのか判断できない態度にロイドは気にすることはしない。
もともと独り言のようなものなので相槌をしてくれるだけでもいいと思った。
それを区切りにロイドも話すのをやめる。
少しばかり沈黙がおとづれた。
離れたところでかすかに爆発の音が聞こえる。
どうやらルイズ達が決闘を始めたようだ。
「あいつら、ほんと仲いいよな」
「仲がいい?」
その言葉に本から目を離し、ロイドを見た。
「仲が悪いの間違い」
ルイズとキュルケは学園に入学した当初からいがみ合っていた。
2人が顔を合わせると、必ず口論が起こる。
タバサには二人が仲がいいとはどうしても思えない。
「本当に仲が悪かったらあそこまで言い争いをしたりしないさ」
「・・・仲が悪いから」
「仲がいいからこそ、相手に自分の考えを理解してほしい、認めてもらいたい、そう思うから言い争うんだ。言いたいことを何の遠慮もなく言い合えるなんて仲がいい証拠だろ?」
その言葉にタバサは一瞬そうかもしれないと思ってしまった。
キュルケとルイズはいつも飽きもせず会えば言い争っている。
もしも自分がキュルケの立場で、ルイズのことが本当に嫌いなら、間違いなく言い争うことなんてせず話すことさえしないだろう。
ロイドはここに来てまだ間がないはずなのにキュルケとルイズのことを自分よりも理解している。
タバサはロイドのことを素直にすごいと思った。
不思議とロイドに興味がわいてきた。
もっとロイドのことが知りたいと思えてきたのだ。
なので前から疑問に思っていたことを聞くことにした。
「・・・ギーシュと決闘したとき」
「ん?」
「あなたが使った力、あれは何?」
「あのとき使った力って・・・翔破陣のことか?」
名前まではわからなかったがあのとき使った力と聞いてその名前を言ったのならそうなのだろう、タバサはコクリと頷いた。