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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百六十四)
最初に聞いたのは黒服の男たちの慌てる声・・
「拘束具が完全にいかれちまってる・・何が起きた・・」
ノアサは腹に一発蹴りを入れられて起こされる
「げほっ!げほっ!」
目の前に銃を突きつけられ・・男に問い詰められる
「これはどういうことだ?NO.0032・・」
「眠たいから・・寝やすく・・した・・だけですよ・・」
いつものノアサとは違う・・皮肉めいた声・・私が知ってるノアサの喋り方・・
(バキッ!)頭を銃で殴られた!
「うう・・」
床に倒れこむノアサの後ろの男が・・肩を叩く
「なぁ、お前はなんだ?言ってみろ?」
「ぼくは・・アサト・・」
(ゴン!)
「ちがうなぁ・・ゴミ・・ゴミなんだよ!」
髪の毛を引っ張られ・・そう言われる
「ううっぅ・・」
「なぁ!」
(ゴン!)
ふたたび前の壁に思いっきり顔を叩きつけられる、男は冷徹に言葉を続ける・・
「ゴミがよ!人間様と同じように!していいと思ってんのか!ゴラァ!」
(バキッ!ドゴッ!)
顔は鼻血を出して・・まぶたは涙の跡でグシャグシャ・・額には大きな青黒いアザが出来ていた・・でも・・目だけは常にギラギラと光ってるように感じた
「あんだぁ?その反抗的な目?」
(お前ら・・が・・ミナを・・ユルサナイ・・絶対に・・ユルサナイ・・)
「消えろ・・お前らなんて・・全員・・消えちまえばいい・・」
(バーン)
硝煙が鼻につく・・
「ううっ・・」
腹に命中・・血が流れて・・意識が・・飛んだ
「おい、やりすぎじゃないのか?」
「いいんだよ・・どうせ今から腹ぁかっさばくんだろ?」
「品質に問題が出る・・傷のついた臓器は売れんのだぞ・・」
「いまさらゴミに品質もクソもないだろ?」
「そういえば・・そうか・・」
「使えるとこだけとってよ・・後はゴミ山に捨てる・・いつも俺たちがやってるこった・・」
「いっそ、死んでくれてたら楽だったんだがな」
「どうせ死ぬよ・・」
「だな・・」
ノアサはそのまま抱えあげられ部屋の外へと出された