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作者:SS投稿作品用
仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜18
…そのせいか…
ウラタロスは昨日のことを思い出していた。
昨日、彩に会う度に妙にジロジロ見られている気がしたのだ。
その視線は好意とか、そういう類いのものではなく、何か疑いに近いような…
「彩ちゃんは良太郎のことが…」
そこまで言いかけて、ウラタロスは体を強ばらせた。
…甘い香り…
ふわりとしたものが首もとに降れた気がした…
ウラタロスの肩に彩が寄りかかっていたのだ。
「ははっ…」
ウラタロスは力なく笑う。やっぱりそういうオチ…か。
彩も相当疲れていたらしい…先程までが嘘のように深い眠りには入っている。
それにしても…
ウラタロスは彩の顔に目をやる。
「普段もこれくらい気を許してくれても良いのにね」
いつもの真剣な表情ではなく、無防備で緩んだ彩の表情に、ウラタロスは口元を綻ばせた。
…ふと気付くとウラタロスは彩の頬へと手を伸ばしていた。
…いつもは怖い顔してるのに…
ココアを飲んだせいだろうか…色の白い頬はピンクに染まっている。
自分の肩で寝息をたてる彩はいつもと違い、あまりにも無防備で…
…今なら触れられる
彼女の卵と砂糖の甘い香りが自分の奥の何かを緩めていくような気がした。
頬に手を触れても起きる気配すらない。
久しぶりの誰かの体温…
ウラタロスは甘い香りに誘われるまま、彼女の肩に手を回して引き寄せた。