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仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜54
…彩が川縁で良太郎とウラタロスと会う数分前…
…緩やかな朝日
ゆっくりと川沿いの道を朝の色に染め始め、川縁の朝露に濡れた草木の香りを強くさせる…そして…川の水面に反射させたその光を、川沿いを歩く彼女の頬にキラキラと反射させた。
…反射する光…
彩はそれに眉をしかめた。
その光は彩に"あの日"の記憶を強く呼び起こさせるのだ。
…"あの日"…
「そんな無茶な約束…」
せっかく修と約束してきたのに、相変わらず心配そうな顔の良太郎…
「建設現場で事故だ!!」
「子供が一人閉じこめられてるぞ!!」
いきなり後ろから聞こえてきた何かが崩れる大きな音…たくさんの人達のざわめき、叫び声…
「…おかぁさぁん」
瓦礫の中に座り込んだ女の子…
その子の周りに、地面全てに覆い被さった、たくさんのキラキラ…
鋭く光を反射させる…
…たくさんの…
…………
「…っ!!」
鈍い痛みで、彩は我に返った。
「…彩、痛むの??左足…」ぴょん吉が心配そうに彩を覗き込んだ。
「…平気…」
彩は歩くことに専念しているかのように、ぴょん吉に目を合わせることなく一言で返事を返した。
「…平気には見えないわよ。いっつもバイクで通ってる道を今日から徒歩だなんて…やっぱり、もう…」
「平気だって!!それに…時間…がないのよ」
重たそうに左足を引きずりながら、彩は歯を食いしばる。
「それにしたって、もう"始まりかけてる"じゃない…このままじゃ…」
ぴょん吉が心配そうに左足に目をやる。
彩はぴょん吉の言葉に視線を落とした。