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仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜44
「…え…?」
良太郎はその言葉の意味が理解できずに視線を床で泳がせた。
…この時間の人間じゃない?…それって…
車内に重い沈黙が流れる。
…気付きたくない事実が良太郎の頭をよぎる。
「…う…そ…」
やっとのことで視線を上げた良太郎は言葉にならないようなか弱い声を絞り出した。
「嘘…ですよね?」
今度は恐る恐るオーナーに視線を合わせて問う。
「嘘ではありません」
きっぱりとした声が車内に響いた。
その声に圧倒され、良太郎はビクッと体を強ばらせる。
「そんな…彩ちゃんが…?そんなわけ…ない…」
良太郎は混乱していた。
…彩ちゃんは普通の人で
…僕の幼なじみで
…大事な…友達…
〜彩たち〜
「上等じゃない。」
カイとぴょん吉の間に腕を組んで仁王立ちしてみせると、彩はカイを睨みつけた。
「契約…もちろん続行だよ。こっちも目的のために動かせてもらうし。その代わり、ぴょん吉にいちいち口出さないでくれる?コイツの好きにさせてよ」
「…彩」
ぴょん吉は力なく彩に目をやる。
カイはそんな彩に視線を移すと面倒くさそうにボリボリ頭をかいた。
「自由に?コイツ、俺がいなきゃ何もできないんだよ?それに…」
「!!」
…瞬間…
カイはいきなり彩の首を力一杯掴んだ。
「彩!!」
突然のことにぴょん吉は声を上げる。
カイは一層手に力を込めるとニヤリとつり上がった口元を開いた。
「特異点でもないお前を、今の時間に連れてきてやったのは…俺なんだけど」
彩は苦痛に細めた目で、ただただ彼を見つめるだけだった。