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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百二十八)
「わからない・・のですよ・・」
「せめて・・その人がいていい人間に幸せにしてもらうように願うだけ・・自分はそれを見届けたら・・人のいないところまで歩いていって・・・爆発すればいい・・それがホントだから」
「ウソなのですよ・・そんなの嘘っぱちなのです!」
口調が自然と強くなる
「でもね・・そうしないとみんなを巻き込んじゃうから死ななくていい人まで死ぬんだよ・・僕がもうちょっと早くそれに気づけば結果は変わってたのかもしれない・・危険物が無理やり幸せをもぎ取ろうとするから・・ろくな結果なんて僕には用意されてないのに・・」
私が・・ノアサを気になる理由がわかった気がした・・昔の私・・運命なんてどうにもならないと割り切ってた私にそっくりなんだ・・・いつか・・消えそうなんだ・・この人・・
「ははっ・・何話してんだろう?ゴメンわけわかんなかったね・・」
誰かの幸せを願って消えた・・悟史や・・かつての私みたいに・・・・・
目の前に見覚えのある階段が見えてきた・・
私は涙目を拭きながら笑顔でそこから降りる
「今日は楽しかったのですよ・・だけどちょっと夜更かしが・・過ぎてしまったのです・・だから皆にはこの事はシィーなのです。」
いたずらっぽく私は口に人差し指をさす
「はは、わかったよ、おやすみ・・」
「おやすみなのです・・」
ウソをつくのはうまいはずだった・・でも今はこの喋り方がうっとおしい・・そう感じてならなかった・・・
ノアサの背中がどんどん小さくなっていく・・そう私は嘘つきだ・・ノアサに過去は思い出さなくていいって言ってる・・そのくせ私はその過去を一番知りたがってる・・・ノアサの唇は動いてるみたいだったそしてそれはこう言っていた
「お前の思い通りになってたまるか」と・・・お前って・・だれなの?