仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜(あいじさん作) - 32 | ケステーズ - 二次小説・SS投稿

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仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜

毒蛇?

「彼女は長くないのか…?」
美代子が眠りに入ってから、本郷先輩は重い口を開いた。
僕はその言葉に答えられなかった。
答えてしまえば、全てが終わってしまうような気がしたからだ。
「そうか…」
僕の表情に気付いたのか、いつも見せないような哀しい表情になった。この人はいつもそうだ。哀しんでいる人がいればその人のように哀しみ、苦しんでいる人がいればその人以上に苦しみ、なんとかしてでも助けようとする。きっとその表情も僕たちに対する憐れみではなく、僕たちを救えない自分の無力を嘆いたのだろう。
「だけど、決して諦めるな、彼女には君が必要だ。彼女を愛してやれ。それが彼女の力になる筈だから」
「先輩…」
本郷先輩は強く頷きそれだけ言うと、立ち上がり部屋を後にした。それが本郷先輩を見た最後の姿だった。


それから数日後
彼女の容体が急変した。
歩くことはおろか、立ち上がることも叶わないだろう。
それでも彼女は毎日僕に微笑み続けた。どんなに苦しいだろう…どんなに辛いだろう…僕は彼女を助けたいと色々やった。
でも次々に襲いかかってくる現実に僕は打ちのめされ、何も出来ないまま時間だけが闇雲に過ぎていった。

そんな時だ。あの男に出会ったのは。
「三田村晴彦くんだったかな?」
突然病室を訪れたその男はいきなり僕と美代子に言い放った。まだ若いがその瞳は毒蛇のように鋭く、老獪だった。
「私なら彼女を…原田美代子を治すことが出来る、たがそれには一つ条件がある」
「条件?」
「君の身体を私に提供してくれないか?」
「身体を…」
「そうだ。だがどっちにしても、君はもう彼女に会うことは出来ないだろう」
僕は迷った。それで美代子が治るならそれでいい。僕の身体一つで美代子の生命を救えるなら…それで…。
だが美代子は納得しなかった。


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