19
特捜戦隊デカレンジャーSPIRIT(#023)
「おい、犬のオッサン、『記憶センサ』ってどういうことだよ、それに、『近藤マサト』って何者なんだ!答えろよ!」
ドギーの服の襟首を掴みながらしきりに問い詰める優。
「今から話してあげるから、落ち着いてちょうだい、ねっ!」
逆上する優を懸命になだめるスワン。彼は舌打ちをしたあとゆっくり手を話した。
「ちぇっ。」
ドギーは事の全てを4人に話した。このことに最も驚いたのは、他でもない美波だった。
「一也叔父様が…何故なんですか!」
拓也が口を挟んだ。
「父さんから聴いた話なんだけど、一也さん、本部の元メカニックだったんだ。」
麗香も言葉を続けた。「私も父上から聞いたわ。どうやら彼、エージェント=アブレラとか言う武器商人と関わりがあるって。」
「何!アイツが生きていたのか!」
ドギーが表情を変えた。
「詳しいことは存じませんが、何者かの力によって復活したと噂では聞いております。」と麗香。
「とにかく、一也の命が危険にさらされるようなことがあってはならない、何としても彼を守るんだ。」
「ロジャー!」
その夜、一也とその娘、美由紀は、師匠のマサトが残したマシンの設計図の数々を整理していた。
だが、彼らは知るよしも無かった。自分たちの命を狙う者がいようとは。
積み上げた書類をしまおうと地下にある倉庫へ向かった美由紀。
突然後ろからナイフを突き付けられてしまう。気がつけば、刃の光は、急所の近くまで近付いていた。犯人はもちろん美奈子。声を出せずにいる美由紀に怪しく言葉をかける。
「久し振りじゃないの。美由紀。」
「お…かあ…さん…。」
美奈子は更に言葉を続ける。恐怖のあまり声が出なくなる彼女。
「さぁ、おとなしくあの人の居場所を教えてちょうだい、命だけは助けてあげるわ(高笑い)、だから言いなさい、何処にいるの!」
母親の言動が信じられない美由紀だったが、答えなければ殺されてしまう。でも、今の母に祖父の形見を悪用させるわけには…次第に迷いの大きくなる彼女。
「さあどうするの…言うの?言わないの?」娘をさらに脅迫する母。生か死か。究極の選択。そして彼女は遂に選んだ。父を助ける為、『自己犠牲』という忌まわしい選択肢を。