もみじ ハッピーエンドじゃないと許せない(ユグドラシルさん作) - 20 | ケステーズ - 二次小説・SS投稿

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もみじ  ハッピーエンドじゃないと許せない 22

「・・・わっかりました」
静流はすっくと立ち上がった。
「それじゃ、早速やりましょう。私はケーキを持ってきますから、真理さんは飲み物をお願いします」
「・・・・・・」
チラリと俺を見た真理に、俺は頷きを返した。
「・・・しかたありませんね」




こうして、ちょっと早い椛の誕生パーティーが始まった。
「椛・・・」
俺は、椛に声をかけた。
「和人さん・・・私・・・うれしいです・・・こんなふうに・・・いわってもらえるなんて・・・初めてで・・・」
椛は笑顔を見せているが、その瞳には涙がたまっていた。
「そうか・・・よかったな」
「はい・・・」
「俺も、こんなふうに人の誕生日を祝うのは初めてだ」
「えっ・・・?」
「今までずっと、誕生日なんて年齢を重ねるだけの意味しかなかったからな」
「・・・それじゃ、今度は・・・和人さんのお誕生日に・・・パーティー・・・しましょう・・・」
「・・・ああ、楽しみにしてるぞ」
「・・・・・・」
椛はなにやら嬉しそうに頷いた。
そのとき、時計が12時を告げた。
「あっ・・・日付が変わりました・・・」
「・・・ハッピーバースデー、椛」
「お誕生日おめでとう、椛ちゃん」
「おめでとう」
「・・・・・・」
俺たちに祝福されて、椛ははにかんだ。
「あ・・・ありがとう・・・ございます・・・」
椛は深々と頭を下げた。
それからもうしばらくパーティーは続き、用意した飲み物が無くなったところでお開きとなった。
真理と静流はケーキの残りと食器を持って退散し、俺はまた椛と二人きりになった。
「・・・そろそろ寝るか。椛、おやすみなさいのキスだ・・・」
俺がそう言うと、椛は自ら顎を上げて目を閉じた。
そういえばいつ頃からだっただろうか。椛が俺とのキスを拒まなくなったのは。むしろ、椛のほうからしてくるようになった気がする。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
俺は、桃色の小さな唇にそっと口付けする。
椛のキスはさっき食べたケーキの味がほのかに残っていて甘かった。
俺達は少し長めのキスを終えるとそのままベッドに入り眠りについた

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