ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百五十七)
やがて・・また視界が暗くなって明るくなっていく・・
「あっ、みんな上に行ったよ!」
ミナの声?
「よし、そろそろだな!」
これはユユ?
「みんなで一緒に脱出しようね?」
この声は・・ノアサ・・
これは廊下のような場所だった・・三人は鉄製の扉の前に佇んでいた・・
「よしっ、開けるぞ!」
「さっさと開けちゃおう!」
(ギィー)
扉はホントに鈍い音を立てゆっくりと開いた
真っ暗な通路が向こうまで続いてるのがわかる
「ここが・・ラウンジに行くもう一つの道?」
「ここに、階段があるはずだ・・そこを登れば・・」
ユユはそう言って先にすたすたと進む、ノアサもミナもそれに遅れないように付いて行く。
「ここが・・廃品部屋?もの凄く暗い・・」
ノアサは周りを見ながらつぶやいた・・
「それにもの凄く臭い・・な!・・」
「ユユどうしたの!」
ミナは何かを察したらしくすぐにノアサの目を手で覆う
「ノアサ見ちゃダメ!」
「えっ?何?何なの?」
「やっぱりかよ・・こんな・・」
目の前にあった風景はここがさっきと同じ華々しい世界かと疑った・・まるで・・
「人形・・じゃないよね?・・これ?」
「ああ、あれウエィン・・そして・・ジョウイも・・」
「こうなるの?商品価値がなくなってしまえば・・私たちも?」
あったのは・・まるでジグソーのようにバラバラになった死体の山・・その腹にはいくつもの手術痕があり、ひどいものはまるで干物のように体中の臓器を搾り取られ・・皮だけになってるものもいた。
「何?なんなの?どうしたのミナ、ユユ?ミナ・・なんで震えてるの?」
「・・・行こう・・脱出するんだ・・絶対に!」
ユユの声はやけに大きくそこに響いたミナも目隠ししたノアサも無言でうなずく。
私はミナの心の声を聞いた
「この子の目にはきれいな世界ままであってほしい・・まだこんなのは見せちゃダメ・・
守らなきゃ・・この子だけは守らなきゃ・・」
「ミナ・・」
「大丈夫・・ノアサにはまだ辛すぎるもの・・私たちが作らなきゃ・・ノアサが笑ってられる世界・・を作らなきゃ・・」
ぐんぐんと進む・・どんどん・・目を周りに向けなければ・・何もない・・ただ・・無機質な廊下が広がるだけ・・・
「あれか!階段って!」
目の前に大きな鉄製の階段が見えてきた