ヒグラシのなく頃に(消滅編其の七十六)
私たちは・・一体何を見ているの?・・ノアサが走り出した一閃、校長の正拳突きが決まったはず・・でも次の瞬間ノアサは校長の頭を触りながら逆立ちしてる!?
「ノアサ・・前よりずっと上手になってますです・・・」
羽入が歓声をあげる・・
次に校長の投げ技が決まるはずだったでも、ノアサは踊るようにそれをかわし・・
ちがう・・ホントに踊ってる!?
「どうしました?校長先生、息が上がってますよ、少しペースを落としましょうか?」
「ふっふふ、まさかこの学校に私と対等に戦える若者がいるとはな・・はははこれだから教育者はやめられん!」
「教育者は関係ないと思うんですけどね・・それにぼく逃げてるだけですし・・」
そんな皮肉まじりの会話をしながらもキック、パンチ、嵐のように校長から繰り出すそれをことごとくかわしている・・
「かかかっ!おもしろし!おもしろし!しかし君!逃げてるだけでは、後ろのボールは取れんぞ!」
「ですよねぇ、ちょっときわどいところにありますし・・」
そう言いながらクルリとバク転しパンチをよける!なんて運動能力!
私たちは唖然としながらその光景を見ていた・・魅音も圭一も富田も・・さっきまで騒いでいた沙都子でさえも・・・黙っていた・・黙ってるしか・・なかった
それは戦いというより・・まるで演舞だ・・校長室に差し込む夕陽が余計それを美しく見せた・・
「何かやってるのかね?君は!私と対等なんて只者じゃないぞ!」
笑いながらまったくスキを見せない校長・・完壁に後ろのボールを守ってる
「先生が世界中の武術をたしなんでいたように、ぼくも世界中の踊術を極めてるんですよ!」
踊術?
「踊術とな!ほぉ聞いたことはあるが実際見たのは初めてだ!これは興味深い!」
「ほらほら、目ぇそらしてる間に頂いちゃいますよぉ!」
「させんさ!」
ボールを取ろうと腕を伸ばすノアサ、しかしそれを片腕でガードする校長!
残った片腕でノアサを掴もうとするが・・ノアサは校長のガードしている手を軸にし鉄棒のように回転、即座に離脱!
再び間合いがひらく・・息が荒くなっている・・
「次で決まる・・」
魅音は・・ぼそっとそう言った・・