ゼロと双剣の使い魔 33
キュルケは昼前に目覚めた。
しばらくぼんやりしていたが、起き上がり化粧を始めた。
昨日はロイドを口説けなかったから、今日こそはと考える。
化粧を終えると部屋を出て、ルイズの部屋のドアをノックした。
しかし、返事は返ってこない。
あけようとしたが鍵がかかっていた。
キュルケは何のためらいもなくアンチロックの呪文をかけた。
鍵の開く音がする。
中に入ると部屋はもぬけの殻だった。
すると外のほうで馬の鳴く声がする。
窓から外を見てみると門から馬に乗って出ていく二人の姿が見えた。
それは間違いなくロイドとルイズであった。
「なによ、出かけるの?」
それからちょっと考えルイズの部屋を飛び出した。
たどり着いたのは友人であるタバサの部屋だった。
どんどんとドアをたたく。なかなか出ないのでさらに力を込めてしまう。
しょうがなく鍵のかかっているドアにアンチロックをかけ部屋に飛び込む。
そこにはやはりタバサがいた。
ベッドの上で黙々と読書に励んでいる。
そんなタバサに近づき話しかける。
しかしタバサはピクリとも動かず本を読み続けている。
(これは、サイレントの呪文使ってるわね)
キュルケはタバサの持っている本を取り上げ無理やりこちらを向かせる。
タバサはしかたなく杖を取り、サイレントの魔法を解いた。
「タバサ。今から出かけるわよ!早く支度してちょうだい!」
「虚無の曜日」
タバサはぼそっと短く言った。
そして本を取り返そうとしてきた。
「わかってる。あなたにとって虚無の曜日がどれだけ大事な日かは。でも、今はね、そんなこと言ってられないの。恋なのよ!恋!」
タバサは首を横に振った。
「もう!恋をしたの!その人が今日、あのヴァリエールと出かけたの。私はそれを追いたいの!でも馬に乗っていったからあなたの使い魔じゃないと追いつかないのよ!わかった?」
「・・・わかった」
タバサは頷き、窓をあけ、口笛を吹いた。
するとタバサの使い魔、シルフィードが飛んできた。
タバサはそれに飛び乗り、キュルケもそれにならう。
「どっち?」
「あ、ええと、わかんない。慌ててたから」
「そう。馬二頭。食べちゃダメ」
そう命じるとシルフィードは短く鳴き力強く翼をはばたいた。