鳥人機装バーニングファルコン(第1話異次元からの侵略者)
「光、聖子ちゃんが待ってるわよ。早くしなさい」
「分かってるよ。今、制服に着替えてんだよ」
「聖子ちゃんごめんね。いつも待たして」
「いいえ、大丈夫です。もう慣れました」
「ほんと、グズなんだから。誰に似たんだろうねぇ。おっやっとバカ息子が来たよ」
「バカは余計だよ」
「おはよう」
聖子が笑顔で俺に言った。「わりぃ、待たしちゃって」「光、忘れ物はない?ちゃんと弁当持ったかい?」
「ちゃんと持ってるよ」
「あっ今日、昼から天気が悪くなるってテレビで言ってたから傘持ってた方がいいよ」
そう言って聖子は自分の傘を見せる。
「持っていきな、ほい傘」
母さんから傘を受け取り聖子と並んで歩きだした。
「昨夜も夜更かししてたの?」
「ロープレやってたんだ。確か1時過ぎまでだったかな」
「ゲームもいいけど勉強もしっかりしなさいよ。ちゃんと進路の事とか考えてるの?」
聖子が真面目な顔をして俺の顔を見た。心配してるような顔つきにも見えた。
「将来の夢はパイロット…って言いたいとこだけど俺の頭じゃ無理だろうな」
「当たり前じゃない。成績だってビリから数えた方が早いのに」
「なんかさ、昔から鳥みたいに大空を飛びたいんだよなぁ」
「またその話し。もう聞きあきた」
「今日のはちょっと違うぜ。昨夜見た夢でさ、小学生の俺が野原にいるんだ。そしたら何処からともなくハヤブサが現れて俺に迫ってきたんだ」
「ふぅん、ハヤブサね」
「それからいつの間にか俺がそのハヤブサになって空を飛んでるんだ」
「空を飛んでる夢を見ると夢が 叶うらしいよ」
「そうなのか。その後、地上に向かってもうスピードで急降下して…」
「ベッドから落ちて目が覚めたでしょ」
「オチを先に言うなよ」
俺がちょっとすねた顔をしたら聖子は笑顔で“本当に夢が実現するといいね”と言った。
三時間目の授業の途中から雲ゆきが怪しくなってきた。確かに昼から一雨来そうな天気だ。窓の外を見てると突如、多きな黒い煙のようなものが現れ広がり始めた。そして、一気に広がり空一面を黒い煙が覆いつくしその中から巨大な戦闘母艦が現れた。
「飛行船か?」「何だあれ?」皆、口々に言葉を発した。誰かがテレビをつけた。テレビには母艦から出撃された戦闘機がレーザービーム等で街を破壊しビルやその他の建物が大破し逃げ惑う人達の姿がテレビに映し出されていた。それはまるで世界を滅亡へと導くかのような悪夢の光景だった。