ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百五十五)
羽入はノアサを見失わないようにたどたどしい足どりでついていく
当のノアサは意外とスタスタとした礼儀正しい足つきで前の男についていった
「ショータイムまで後、20分しかない・・ダンスの手順は覚えてるんだろうな?」
「僕は・・大丈夫です・・」
元気のない声・・
(バーン)隣に銃声!
「声が小さいが・・」
「大丈夫で・・す!いつでも行けます!」
無理やりに出した大きな声・・
「よしっ、すぐに控え室に入れ・・」
そして暗い部屋に通される・・そこには大きなチャイナドレスといくつかの化粧品・・
「羽入・・ノアサはなにをしようとしてるの?」
「校長との勝負・・覚えてますですか梨花?」
校長との勝負?・・私はその一言でピンと来た
「踊術?」
「そうです・・ここで・・ノアサは・・ショータイムの見世物として踊術を無理やり覚えさせられたのです・・」
「ここで?」
「ノアサはですね・・ここでは娯楽道具として育てられているのです」
「娯楽道具?」
「お客様を楽しませるためだけに・・僕らは存在を許されている・・」
ノアサがボソッとつぶやいている言葉だった、一瞬答えてくれたのかと驚いたが、どうやら独り言のようだ・・でも声がやけに大人びた声・・