ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百六十五)
目の前には真っ暗で、イスが一つあった小さな一人用のパイプイス・・そこにミナが座ってる・・
「ミナ・・ここにいたの?」
ミナは下をうつむいたまま・・何も言わない
「ミナ・・?」
僕はミナのところに行ったの
「ミナだよね?生きてたの?生きてた・・よかった・・よかった・・」
でもね・・ミナは何も言わないの・・ずっと黙ったまんまで・・
「どうしたの?僕だよ・・ノアサ?忘れたの?」
「助けて・・」
ミナはそれだけ言うんだ・・
「えっ?」
「ユユ助けて・・」
涙?ミナが泣いてる・・
「ここ真っ暗・・なの・・怖いよぉ・・ユユどこ?」
「僕が・・僕がここにいるよ・・ミナ・・もう大丈夫・・だから・・」
ミナに触れようとした瞬間だった・・
「いや・・いやぁ・・」
泣きながら僕の腕をよける・・何で?なんでそんな事・・するの?
「ちがう・・あなたユユじゃない・・」
「ノアサだよ・・忘れたの?」
「ちがう・・お前違う!」
何が・・違うの?
「ミナ無事か!」
ユユの声・・
「ユユ!ユユなの?」
聞いたことのない・・ミナの甘えた声・・目の前で・・ユユがミナを抱いてる・・
「大丈夫だ・・もう・・大丈夫だ・・何も怖がらなくて・・いい」
「ユユ!ユユ!ああぁぁぁぁっぁぁぁぁ!」
「俺が守ってやるから・・わかってる、わかってるから・・」
何・・これ?ねぇ・・なんなの・・これ?あんなミナ見たことない・・なんなの?
ミナとユユは手を握ったまま・・向こうの方に消えてさ・・残されたのは・・僕だけ・・何・・これ?
僕の記憶が全部嘘をついてる・・じゃあなんなの?
僕が見てきたものは・・・
「夢と・・一緒・・子供が楽しめるように大人が遊園地で遊ぶのと一緒・・内心うんざりしてるのさ・・わかったろ・・お前は邪魔なんだ・・邪魔者なんだよぉ・・ノアサ・・」
黙れ、黙れ・・
「ノアサ・・だから言ってる・・僕に助けを求めろ・・と」
「嫌だ・・」
「お前はこの世界を生きるには・・弱すぎる・・僕の力が必要だ・・」
「絶対・・嫌・・お前は・・だって・・」
「なら・・今の自分を見てみろ・・」