ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百七)
「お嬢様!どうされました!そんな泥だらけになって!」
お付きの家政婦だった・・・私は自分の服装を見てみた・・泥だらけでさ、どうやら転んだ時に・・やったみたいなんだよねぇ・・
「あらっ、後ろのお二人は?」
「えっと、あの・・」
「鷹野三四の妹のミナと言います!入江診療所の使いできました!お魎さんにこれ!渡してもらえますか?」
元気のいい声
「あらあら、かわいいお使いさんねぇ・・後ろの子は?」
レナのことだった・・相変わらず初めて入った家にきょろきょろしていた
「あのっ・・そのっ・・」
このまま黙ってたら・・ボロが出そう・・
「私の助手です!えへん!」
そういって自信マン満に後ろに手を組んでみせる・・
「えっ・・あっそうなの?レナ初めて聞いたよ・・たよ?」
「そういうことにしておくの!・・」
聞こえてるってば・・
「ふふ、わかりました、ちゃんと渡しておきますよ・・それとお嬢さん!」
えっ?私・・やっぱりダメ・・だったのかな?
「このことはおばあ様に黙ってますから・・来たら教えます・・それまで遊んでてくださいな・・」
意外な言葉だった・・そしてね・・私、後ろの二人に・・こんなこと言ったの・・
「部屋・・来る?」
そのときが初めてだったんだ・・私の部屋見てびっくりした二人のリアクション今でも覚えてるよ・・
「うわぁぁ、ヒラヒラな紙がいっぱいね・・」
「ははは、ミナこれトランプっていうんだよ、レナ知ってるよ!」
嬉しそうな二人・・声をかけるのが少しためらったけど・・
「これ、海外のトランプ・・色がきれいでしょう?」
「外国の・・きれい・・」
その当時のあたしの娯楽っていうか・・息抜きは・・トランプとかカードゲームのルール覚えて・・戦術を探すことばっかやってたの・・1人で・・寂しかったのかな・・だからこうやって・・誰かと一緒に遊ぶってのが・・楽しいもんだって・・初めて気づいたのがこのとき・・