ヒグラシのなく頃に(消滅編其の二十八)
「あれっ、警部この記事は関係ないんじゃないすか・・・?」
「ああぁ、この記事ですか・・確かに関係ありませんけど・・」
「大型客船爆発炎上・・たしか・・この事件当時でも・・話題になったんすよね・・船部の地下からたくさんの子供の死体が上がったってことで・・」
「ええ、後の調べでこの船が密輸船・・すなわち誘拐された子供達が運搬・売買される船だったんですね・・」
「たしか・・発火の原因はいまだ不明・・じゃなかったすっけ・・・」
「えぇ・・・調理場からも・・客室もどれもこんな爆発するような・・原因らしい原因は見つからず・・結局警察はタバコの不始末ってことで決着をつけたみたいですけど・・」
「こんな大きな船でタバコの不始末・・無理もはなはなしいっすね・・」
「これにもちょっと面白い話があるんですよ・・・」
「面白い話なんすかそれ?」
「これは海上に勤めてる同僚から聞いた話なんですけどね・・・焼死した子供達が・・壁に書いてたらしいんですよ・・血で・・」
「えっ、」
「壁一面に夢中になって書きなぐってたんですよ・・(アンサー・ド・ノア様どうかお許しください・・怒りをお静め下さい・・お願いです・・もうしませんから)って壁一面中にね・・それを見た人たち・・あまりに壮絶すぎてその場で吐いちゃったみたいなんですよ・・・・」
「ええ・・それは・・あまりよろしくないっすね・・」
「考えてみてくださいよ・・小さな子供がですよ・・体中火がついてる中で必死になって書きなぐってるわけだ・・みんな壁に殺到して・・必死に・・自分の体が燃え尽きるまで・・ね」
「ううっ、」
「あっ、大丈夫ですか・・・ちょっと話し込みすぎましたね・・・」